
アウインの星
ながたゆうか@へむへむ
はるか昔、世界に星が降り注ぎ、大地に生きる人々は「ヒト族」と「魔族」の二種類に分けられた。
光を好むヒト族と、闇を好む魔族。
彼らは相入れぬ存在として共に大地に存在することを余儀なくされた。
ーーヒト族と魔族が大規模な争いを始め、100年が経過しようとしていた。
互いに傷つき疲弊し、もう憎しみ合う力も失った頃、ヒト族の王により初めて和平会議が提案される。
魔族もそれに承諾し、次の満月の日に会議が開催されることが決まる。長く続く惨劇を止めたい想いは同じであった。
ヒト族の王都から少し離れた小さな塔にて、和平交渉に向けたヒト族の会議が開かれようとしていた。
和平会議の提案者でもある王。
その娘であり、誰よりも心優しき王女。
魔族との戦いにて数えきれないほど戦功を上げた寡黙な騎士。
信仰から民たちの心を支え、強い治癒の力を持つ僧侶。
護衛として、王女と長く共に過ごした魔法使い。
誰もが平和を願い集まったはずのこの場で……王の無惨な死体が見つかった。
厳重な警備がしかれ、結界が張り巡らされている中起こってしまった事件に、残された4人はただ茫然と互いの顔を見る。
そして皆が思うのだった。
「一体誰が王を殺したのか」