
風信子石の星隕
露草
世界にぽっかりと空いた「大穴(The Hole)」。
かつて「大災の竜」が現れ、そして二度消えた場所。
しかし、厄災はまだ、「大穴(The Hole)」に燻り続けていた。
「大厄の竜」を封じた後の平和も束の間、
「大穴(The Hole)」から少しずつ現れる魔物たち。
最初は弱い魔物。
その次は、最初より少し強い魔物。
そしてその次は、前よりもう少し強い魔物。
……そうして、出現する魔物は少しずつ強くなっていく。
最初は新兵でも対処できた魔物が、今はもう専門的訓練を受けた軍隊でも手を焼くようになってしまった。
地上に広がり続ける脅威を前に、人類はあらゆるリスクを飲み込み、ひとつの決断を下す。
「もう一度、隕石を落とす。そして、穴を塞ぐ」
各国から選りすぐられた者たちが集まり、隕石の召喚儀式の準備が整いつつあった。
しかし、その前夜。
儀式の鍵を握る召喚術師が、爆発と共に命を落とす。
事故か、殺人か、あるいは自殺か。
そして、召喚術師亡きいま、儀式はどうなるのか。
グローリーの女王から容疑者である5人に下された密命は、この事件の真相に辿り着くこと。
他の要人がこの事態に気付く前に、彼らを納得させる真実を見つけ出し、儀式の継続を説得しなければならない。
儀式の前夜、黎明の前。
呼ばれるべき星隕は、今はまだ遥か遠く。