
HAND OVER
オンラインぼっち
気が付くと、見慣れたはずの職場のオフィスビル、その9階ベランダに自分は立っていた。
ついさっきまで違う場所にいたはずなのに……。
夜遅い時刻だろうか。
なぜ自分がここにいるのか、皆目見当もつかない。
馴染みのあるはずの場所に、ただ茫然と立ち尽くす。
周囲には同様に困惑した表情を浮かべた見知らぬ人間が二人。
そして、我々の眼前に佇むのは、明らかにこの世の者ならざる、禍々しい様相の女の影。
女の影は低い声でボソリと呟く。
「―――ワタシ ヲ コロシタ ノハ ダレ――――」
わけが分からない。
この怨霊(?)の言葉を信じるならば、誰かが死んだというのか?
そしてこの中に犯人がいるのか?
女が非業の死を遂げた時にたまたま近くに居合わせたという、ただそれだけの理由で、見知らぬ男女3人がこのビルの9階に閉じ込められたのだとしたら……。
怨霊が求める真犯人を突き止めぬ限り、この悪夢から逃れる術はないのだろう……。