
本能寺の便
アオしん
天正十年六月二日、午前四時。
天下統一目前の織田信長は、朝の日課である厠へ向かった。
しかし、そこで目にしたのは――
流されていない便。
激怒した信長は、居合わせた四人の重臣を緊急招集する。
「このような無礼、天下への反逆にも等しい。」
「犯人は、この中におる。」
羽柴秀吉、柴田勝家、丹羽長秀、池田恒興。
それぞれが何かを隠し、誰もが「それだけは知られたくない事情」を抱えている。
証言は食い違い、証拠は次々と見つかり、疑惑は深まるばかり。
果たして、信長専用厠に便を残した真犯人は誰なのか。
そして、家臣たちが命よりも隠したい秘密とは――。
これは、日本史上もっともくだらなく、もっとも真剣な事件。
『本能寺の便』、開幕。