あらすじ
西暦2147年。 人類は、未来を完全に管理する巨大演算機関《クロノグラフ》を完成させた。 その機関によって、人々は事故や災害、犯罪の発生を事前に知ることができるようになった。 しかし、そこには恐ろしい仕組みが存在した。 未来は予測されているのではない。最初から決定されていたのだ。 クロノグラフは都市全体の交通、医療、通信、エネルギーを管理し、算出した未来が実現するように社会を操作していた。 そこに暮らす人間たちには、毎日ひとつの通知が届く。 《明日の決定事項》 それは就職や結婚といった些細な出来事から、時には誰かの死に至るまで、あらゆる運命を告げるものだった。 誰もが決定された明日を受け入れる。 なぜなら、それこそが人類を破滅から救う、最も合理的な方法だと信じられていたから。 そんな世界で暮らす少年、朝霧湊。 他人との衝突を恐れ、自分の意見さえまともに言えない彼は、ある日一人の少女と出会う。 少女の名は、白瀬透花。 彼女には、クロノグラフが管理する人間なら必ず存在するはずの《未来記録》が存在しなかった。 つまり、彼女だけが未来を決定されていない人間だった。 そして、その少女との出会いが、湊の運命を大きく変える。 本来なら死ぬはずだった人間を救おうとした瞬間。 湊の身体に、決して存在するはずのない力が宿る。 それは、世界が決定した結果を九秒だけ先延ばしにする能力。 《猶予》。 やがて湊は、反体制組織を率いる青年、神城玲央と出会う。 圧倒的な統率力を持ち、誰よりも自由を求める革命家。 しかし、その青年にはある秘密があった。 彼こそが、湊が幼い頃に出会い、決して忘れてはいけなかった親友だったのだ。 そして、世界の未来を取り戻そうとする二人は、やがて正反対の答えへとたどり着く。 「未来を決めることこそが、人類を救う方法だ」 「間違えるとしても、自分で選べる明日がほしい」 かつて同じ未来を夢見た親友同士が、世界の命運を懸けて対立する。 これは、決められた結末に抗う四人の物語。 そして、たった九秒の自由を求めた、一人の少年の成長の物語である。
キャラクター
朝霧 湊
あさぎり みなと
性格 優しく、気弱で、他人の顔色をうかがうことが多い少年。 争いごとが苦手で、誰かに反論することさえできない。 自分自身の価値を低く見積もっており、特別な人間への憧れと劣等感を同時に抱いている。 しかし、理不尽な出来事を見過ごせない正義感を持つ。 決して最初から勇敢な人間ではない。 恐怖で足が震えていても、泣きそうになりながら誰かを助けようとする。 彼の成長は、英雄になることではなく、誰かの指示を待っていた少年が、自分の意志で未来を選べるようになることである。
白瀬 透花
しらせ とうか
性格 非常に無口で、感情表現が乏しい少女。 喜びや悲しみといった感情を理解していないわけではないが、それをどのように表現すればよいのか分からない。 他人の言葉を素直に受け取るため、時折不思議な発言をする。 しかし、決して意思のない人形ではない。 内面には強い好奇心と、自分の人生を自分で生きたいという願望がある。 湊と出会ってからは、彼の不器用な優しさに触れ、少しずつ笑顔や怒り、悲しみを表現するようになる。 ※地の文やNPCの台詞を多めに担当する役です
神城 玲央
かみしろ れお
性格 冷静沈着で頭脳明晰。 圧倒的なカリスマ性と統率力を持ち、人を惹きつける演説に長けている。 目的のためなら非情な決断を下すこともある。 しかし、その根底にあるのは人類を救いたいという強い願い。 無意味な犠牲を嫌い、人間の可能性を信じている。 一方で、自分一人ですべての責任を背負おうとする傾向がある。 湊に対しては、他人には見せない柔らかな態度を取ることがある。
久遠 紗月
くおん さつき
性格 皮肉屋で、現実主義者。 感情に流されず、常に合理的な判断を下す。 口調は少々辛辣だが、困っている人間を見捨てることはできない。 湊の優柔不断な性格には呆れることが多い。 一方で、玲央の極端な思想にも危うさを感じている。 四人の中で最も客観的に状況を判断できる人物。 NPCキャラ
制作者のコメント
非常に難しい作品ですが楽しんでいただけると嬉しいです! フリーBGM 音楽: Tak_mfk様 zippy様